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若手育成は海外で?どうなる国内レース界。 

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大串信

大串信Makoto Ogushi

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posted2007/02/22 00:00

 若手選手育成に関わる某氏が、開幕に向けた集中練習のため若い選手を連れて中国へ出かけると聞き、驚いた。氏は言うのだ。

 「中国へ行った方が安くあがるんです」

 アジア地区で国際級レーシングコースを持つ国は長らく日本だけだった。しかしこの10年のうちにマレーシアや中国にF1グランプリ開催もできる立派なサーキットが建設され、日本の選手やチームが練習に使い始めたようだ。現地でレンタルができるミドルフォーミュラレベルのマシンを使った練習走行ならば、往復の交通費や滞在費を含めても安価で集中的な練習ができるところに理由がある。

 一方、国内の各サーキットでは、様々な整備は進んでいるが、いざ練習するとなるとその走行料は相変わらず決して気安く払える状況にはない。たとえばある国際サーキットで我々アマチュアが競技車両を持ち込み一般スポーツ走行枠で練習する場合、30分で6千円以上がかかる。当然走行料だけの話で、これ以外に競技車両の運搬費、メンテナンス費、タイヤ代、ガソリン代など諸経費は別である。

 プロレベルの車両で本格的な練習をしようとしたり、育成プログラムなどで系統だった走り込みのトレーニングをしようとすれば、一般スポーツ走行枠でアマチュアと混走するわけにもいかないのでコースを占有しなければならないが、コース占有料金は1時間で60万円以上。1日走り込むには一財産必要になる。

 もちろんこうした国内レーシングコースの走行料を単純に海外と比較することはできない。安全性を含む各種設備が必ずしも同じだとは言い切れないからだ。また、現地でレンタルできる車両のコンディションに少々難があると指摘する人もいるにはいる。だが、少しでも走り込みをしたい育ち盛りの選手にとっては、短期間に走り込んで走行距離を稼げる海外の環境は大きな魅力だろう。

 というわけで、条件次第では海外へ出かけた方が安く、しかも長時間走り込んで練習できるというドーナツ化が起き始めたらしい。すでに、若手育成は海外でやった方がよいのではないかという極端な声すら聞こえる。走行の機会が増えるのは喜ばしい話ではあるが、練習まで海外流出するのは、国内レース界の基盤が壊れる兆しではないかと心配でもある。

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