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ビッグマウスではない大松尚逸の真価とは。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2009/02/12 00:00

 法外な年俸などが原因となり、'09年限りでロッテとの監督契約を打ち切られたB・バレンタインだったが、若手の育成にはかねてより定評があった。'08年限りで監督を退任したソフトバンクの王監督は、こう評していたことがある。

「バレンタインのよさは、思い切った若手の抜擢だね。積極的にチャンスを与えるから若手選手は育つんだ」

 特に今年5年目を迎える大松尚逸は、バレンタインに育てられたひとりである。

 出身は松井秀喜と同じ石川県。プロ入りの時に「松井さんのように記念館(松井秀喜ベースボールミュージアム)を建てられるような選手になりたい」と言って大松ならぬ「大口」と言われたが、その実力は折り紙つきだ。

 東海大時代には日米野球で4番打者を任されMVPを獲得し、将来を嘱望される打者のひとりだった。

 '05年にドラフト5巡目でロッテに入団すると翌年には4番に抜擢。74試合に出場し8本塁打を放つと、'07年は規定打席不足ながら3割をマーク。ついに昨シーズンは24本塁打を記録し、不動の地位を築いている。

「走者がいないと気分が乗らない」と言う本人の言葉通り、満塁時には、5割7分1厘という無類の勝負強さが特徴だ。

 大松が昨シーズン放った満塁本塁打は3本。これは'59年の山内一弘、'66年、'71年の江藤慎一というロッテが誇る往年の大打者に並ぶ記録であり、月間MVPを獲得した昨シーズン7月の31打点は、ロッテ時代に落合博満が記録した27打点を抜くものである。

 一見すると順風満帆な野球人生のようだが、克服すべき課題もある。昨シーズンは対左投手に打率2割1分6厘、本塁打3本と、右投手に比べて大きく数字を落としているのだ。「左投手を打てるようになったら、ロッテの4番は当分安泰」と監督も苦手克服を待ち望んでいる。

 愛用しているラルフローレンのピンク色のボクサーパンツをはいた時、不思議と本塁打がでることが多いという。今シーズンはピンクの下着で、大事な試合に臨むことを決めている。

「我慢して使い続けてくれた監督に、今季は恩返しをしたい」と語る大松。ラストイヤーのボビーを胴上げすることができるか。5年目の和製大砲に注目である。

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