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キプロスで夢をかなえた
若きポルトガル人選手。
~CL出場を叶えたアポエルFC~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byUniphoto Press

posted2009/09/24 06:00

U-21ポルトガル代表に選ばれたモライス(右)は、弱冠20歳の若さでチェルシーへ移籍した

U-21ポルトガル代表に選ばれたモライス(右)は、弱冠20歳の若さでチェルシーへ移籍した

 中海の東のはてに浮かぶキプロス島。人口たった78万人のこの小さな島は今夏、2年連続でチャンピオンズリーグに自国クラブを出場させるという快挙を成し遂げた。

 キプロスサッカー史上初めてCLに出場したアノルトシスに続くのはアポエルFC。熱狂的なホームで勝負強さをみせて、パルチザン、コペンハーゲンとの厳しい予選を勝ち抜いた。

 アポエルはグループDに振り分けられ、チェルシー、ポルト、アトレティコ・マドリーと対戦することに。強豪揃いのこのグループは“3強1弱”といわれるが、ヨバノビッチ監督は「キプロスサッカーの力をみせる」と自信を隠さない。

古巣チェルシーへ挑む、20歳のMFの夢とは。

 さてこのアポエルには、元チェルシー所属という、キプロスにおいては変わった経歴を持つポルトガル人選手がいる。

 彼の名はヌーノ・モライス。'04年、チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督にCBとしての能力を買われ、母国からイングランドへと渡った。

 しかし、ジョン・テリーとリカルド・カルバーリョという二人の巨人を前にほとんど出場機会は得ることができず、リザーブリーグでの戦いが続いた。

「成長するためにはいい環境だったが、僕はプレーしたかった。モウリーニョは手放したくないと言ってくれたけど……」

 '07年の夏、モライスは移籍を決意する。移籍先は名前も知らないキプロスリーグの小クラブだったが、ポルトガル人選手が複数いることもあり、彼はそこでの再出発に賭けた。

「目標はアポエルで毎年CLを戦うこと。夢は大きくもたなければならない。モウリーニョ? 最後には“幸運を願っている”と言ってくれたよ」

キプロスで才能が開花。78万人の島からCLへ。

 変わったのは環境だけではなかった。新天地でモライスは守備的MFとしての能力が開花。かつてモウリーニョが評価したボール奪取力が中盤で生きるようになり、モライスを中心とする中盤でのしぶとい守備をベースに、アポエルは今季ついにCL出場を決めた。

「チェルシーと対戦できるのは嬉しいね。試合が待ちきれない」

 キプロスで再起を図った男と、島の小さなクラブの挑戦。モライスとアポエルは、急成長するキプロスサッカーの力を欧州に見せることができるだろうか。

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