「こん畜生、負けてたまるか!」
流血のフルスイングだった。デビュー13年目で初めて夏を制した“暴走コング”真壁刀義、36歳。見事な逆転優勝には、こんな言葉しか見当たらない。「伸也(真壁の本名)君、辞めないで、本当によかったね」。素直に、おめでとう、と言いたい。
ヒールとベビーの壁を壊した新時代のヒーロー。
今年で19回目を迎えた新日本の看板イベント、G1クライマックス。恥ずかしながら筆者がVレースを的中させたのは、中西学が武藤敬司をアルゼンチン・バックブリーカーでねじ伏せ、初優勝を飾った'99年の第9回大会だけしかない。今回の真壁も、世界陸上の男子やり投げで銅メダルを獲得した村上幸史のように、まったくノーマークだった。“暴走コング”に「ふざけんじゃねえーよ。オレは金メダルだ」と襲われそうである。
鎖を振り回すワイルドなヒールがヒーローになった。8・16、東京・両国国技館で行なわれたG1決勝戦。ともに初制覇をかけた真壁 vs.中邑真輔戦の試合中、なんと「マカベ」コールが沸き起こった。その熱い声援を背に、真壁は18分29秒、ポスト上段からのキングコング・ニードロップで中邑を仕留めた。
その瞬間、ひと際高くこだまする「マカベ」コール。会場は、どちらがヒールでベビーフェイスなのか、わけのわからない“ヒート・アイランド現象”である。
新日本のリング係や全8戦を取材した専門誌の記者は口を揃えてこう言う。「全会場を満遍なく盛り上げたのは真壁です」。
セコンドの悪い奴、本間朋晃の手助けがあったにしろ、「反則上等」の精神で暴れまくる「ブレない姿勢」がファンに支持されたのだ。
叩き上げの真壁が次に狙うのはIWGP王座。
真壁は'96年の入門当時から長州力の付き人として鍛えられた叩き上げ。踏み潰され、殴り倒されても、這い上がる“草魂”には、中西、永田らエリート選手にない力強さがある。手抜きを知らぬブル・ファイトが評価されたのはIWGPヘビー級王座初挑戦の'07年7月、後楽園ホールにおける永田裕志戦だった。
現IWGP王者・棚橋の負傷欠場、ベルト返上によって、9・27神戸大会での真壁 vs.中邑の王座決定戦が決まった。真壁にとっては、これが3度目の挑戦だ。新しいキャラ「悪くて、凄い」チャンピオン誕生か!? そんな期待に胸が膨らむ。
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