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田上新体制で漕ぎ出したノア、
前途多難の大海。 

text by

門馬忠雄

門馬忠雄Tadao Monma

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2009/08/03 06:00

小橋、丸藤らとともに「天国の三沢社長に叱られないよう選手一同、頑張ります」と誓った田上新社長(右から2人目)

小橋、丸藤らとともに「天国の三沢社長に叱られないよう選手一同、頑張ります」と誓った田上新社長(右から2人目)

 三沢光晴社長の事故死から1カ月。プロレスリング・ノアが田上新体制で「前途多難の大海」に漕ぎ出した。

 業界関係者の予測を上回るスピード人事だった。

 ノアは7月6日、都内の事務所で臨時株主総会、取締役会を行ない、新社長に田上明(48)、副社長には小橋建太(42)、丸藤正道(29)が就任。百田光雄副社長、永源遙、小川良成、仲田龍取締役が辞任し、相談役に退いた。また、選手会長の森嶋猛(30)が取締役ポストに就き、「選手を大事にする」団体らしい布陣となった。

 丸藤の「副社長」大抜擢は、株の大半を持つ三沢夫人、真由美さんの「丸藤選手を後継者として育ててほしい」という強い意向が反映されたものだ。右ヒザ前十字靭帯断裂で欠場している丸藤は、全日本時代から三沢の付き人を務め、ノアでは90kgの軽量ながらGHCヘビー級など5つのタイトルを総なめにした、非常に集客力の高い選手である。12月に復帰のメドが立ち、「やることがいっぱいあるので、これから頑張らないと!」と、表情は思ったより明るい。

造反者は百田前副社長だけ。選手一丸で難局を乗り切る。

 取締役会で新社長に小橋を推したが意見の通らなかった“力道山二世”百田前副社長は、10日付けで退団した。「奥さんの委任状ひとつで振り回され、オレはハメられた。相談役では発言権がないから、いても意味がない」と、フロント主導の新人事を批判。現役続行を強調し、フリー選手となってラッシャー木村の61歳10カ月のレスラー最年長記録更新を目指すこととなった。

 だが、ノアの内紛は“力道山二世”一人の反乱だけに終わり、12日の後楽園ホール7月新シリーズで、まずは無難なスタートを切った。

赤いタイツのほのぼの田上新社長の経営手腕やいかに。

 注目の田上は、後楽園ホールで、赤いタイツで初暴れ。「シャチョウ!」の声援に照れ笑いを浮かべた。「チームワークでやるしかない」と覚悟を決め、9・27日本武道館、 10・3大阪府立体育会館の 「三沢光晴追悼試合」に向けて先頭に立ち、選手一丸となって走り出している。

 田上の新人時代のコーチだったザ・グレート・カブキは「もめ事の嫌いなタイプだから、妥当な人事じゃないの?」と評する。ほのぼの田上の厳しい夏本番はこれからだ。

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