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「故郷を勇気づけたい」
由規の投球が希望を燈す。
~地元・仙台での交流戦への思い~ 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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photograph byKYODO

posted2011/03/28 06:00

「故郷を勇気づけたい」 由規の投球が希望を燈す。~地元・仙台での交流戦への思い~<Number Web> photograph by KYODO

昨シーズンは12勝を挙げ規定投球回数もクリア。今季は自身初となるタイトル獲得を目指す

 東日本大震災はプロ野球界にも大きな傷跡を残した。人一倍家族想いのヤクルト・由規も、地元・仙台に住む友人や親戚を心配するひとりである。

 オープン戦最終登板直前に起きたこの惨事。球場からの電話で両親の安全こそ確認できたものの、実家は大きく損壊。車中泊を余儀なくされている状態であった。両親は昨年、育成ドラフトでヤクルトに指名された弟・貴規と自分をプロ野球選手に育ててくれた大切な存在。それだけに由規の心配も大きかった。

「チャリティとかこれからいろいろ知恵を出していきたいけれど、自分が出来るのは野球で結果を出すこと。頑張っている姿を見て少しでも励みになってもらえれば……」。被災者が多く出ているため、言葉少なであった。

 弟の入団も手伝ってか、今年のキャンプでは例年以上の意気込みを見せていた。荒木大輔チーフ兼投手コーチが「チーム愛というか、自覚でしょうネ」と言うほど意欲的なキャンプを過ごした。

キャンプ中にツーシームを完成し、最多勝を狙えるまでに成長。

 キャンプでの課題は新変化球を覚えること。最速161kmのストレートが由規の武器だが、球種が少ないため打者に的を絞られ易い。そこで、昨秋からツーシーム習得に精力的に取り組んだ。キャンプ中にツーシームを完成させたことで、最多勝を狙えるまでに成長したという。

 本稿締め切り時点では日程変更の可能性も高いが、故郷・仙台での登板は5月のセパ交流戦、楽天との2連戦が予想されている。これまでの楽天戦では2年連続で田中将大と投げ合い、一昨年は0-2で敗北。しかし昨年は3-1で雪辱を果たしている。

「生まれ育った仙台で自分の成長を見てもらえるのが嬉しい」と語っていた由規にとって、今季の交流戦が特別なものになることは間違いない。由規は「勝つ姿を見せることで仙台を勇気づけたい」と現在の思いを話してくれた。

 高校野球でもプロでも同じだが、故郷や地元の惨事に、勇気を持って立ち上がる例は過去にも多い。球種を増やし投球の幅を広げて挑む今季の由規に、楽天の山口哲治スコアラーは「あのストレートにシュート系のツーシームはやっかいな存在になる」と警戒を強めている。

 この大災害の中で由規の投球が仙台に希望の光を燈すことを願っている。

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