朝には弱いはずのスペイン人ファンが午前中からモンメローの丘を埋め尽くしていた。13万2600人を集めた第4戦スペインGP、今年二つあるうちの最初の“アロンソ母国GP”である。
このコースには明快な勝利の法則がある。ポールポジションを取ったもの勝ち。'01年から7年連続でそうなっているほど、オーバーテイクが難しいのである(今年もK・ライコネンがやってのけた)。
母国戦に復活を賭けたアロンソとルノー・チームは予選から狙っていった。スタート時のガソリン量を少なくしてQ3タイムアタック、最初のピットインが他より早めになっても先手を取って戦ったのだ。フェラーリ、マクラーレン、BMWに対しアグレッシブな戦法で挑み、相手のミスを誘い出して何とか表彰台を目指す、アロンソならではの“捨て身の作戦”。これを決断できたのも、ルノーがここにあわせて総力開発したニューパッケージが機能し、フェラーリと肩を並べるまでは厳しくとも、背中が見えるところまでは戦力が整備されてきたからだ。
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photograph by Hiroshi Kaneko