あの日抱いた思いを、遠藤航はずっと胸に秘めてきた。'18年7月に行なわれたロシアW杯のベルギー戦で感じた悔しさ、を。
「ベルギーに逆転で負けた悔しさと同時に、僕自身はW杯で1試合も出られなかった悔しさがあった。それをずっと忘れずにやってきました」
今回のW杯直前、所属クラブの試合で脳震とうに見舞われた。それでも、初戦のドイツ戦に間に合わせた。コスタリカ戦の負傷でスペイン戦は先発から外れたものの、クロアチアとのラウンド16では最後までピッチに立った。チーム結成時からのコアメンバーとしての責任を果たした。
「今回はW杯アジア予選から、チームの中心でいなければいけない、周りを引っ張っていかなきゃいけない、という思いを持ちながらやってきた。個人的にはすごく成長を実感できた大会だったと同時に、世界の壁はまだまだ高いなと痛感させられた」
代名詞のデュエルだけでなく、攻撃でもチームの力になった。縦パスでスイッチを入れ、シュートに繋がるパスも通した。
「そこは自分の良さでもあるというか、1対1だけでなく攻撃に関わっていくのは、この4年間ずっとやってきた。そこは出せたと思いますけど、とくに延長戦とかタフな展開になったところで、存在感を出せれば良かったかなと思います」
クロアチアとの攻防は、互角と言っていいものだったはずだ。PK戦による敗戦は不運に映るが、試合直後の遠藤は選手一人ひとりの日常に着目した。
「個人的には、こういう相手に対してもやれる感覚はありました。ただ、クロアチアの選手はメチャメチャいいプレーをするというよりも、ここというところでしっかり守れるとか、固い試合をどこまで焦れずにやれるかとか、そのあたりを所属チームで経験しているのかなと感じた。それは自分たちも学ばなければいけないところだと」
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