鋭い縦の突破で切り裂く異能のドリブラーは、世界最高峰プレミアリーグでも輝きを放つ。彼を先発で使うか、勝負所でのカードとするか。勝敗に直結しうる25歳が求める結果とは。
三笘薫はジョーカーとして日本をベスト8に導けるか――。
これが、そもそも編集部から提示されたテーマだった。
継続して日本代表の取材をしているから、彼が先発出場にこだわっていることは知っている。9月に行われたドイツ遠征の際にも「もちろん、スタメンで出たい」と話していた。
それでもW杯に臨む三笘には、途中出場から得意のドリブルで相手の守備網を切り裂き、ゴールをもぎ取る“切り札”としての働きを期待していた。W杯出場を決めた今年3月のオーストラリア戦のように。
しかし、今回のインタビューを経て、考えを改めつつある。
「どっちもできるように準備しますが」と前置きしたうえで、三笘は語り始めた。
「プレー時間が長いほうが試合状況を読みやすいし、流れも分かりやすい。途中から入って一瞬で掴めるかというと、相手のレベルが上がると難しい。やれることはドリブル突破くらいになってしまう。僕はスタメンで出たときはドリブルばかりしているわけではなく、パスを混ぜてチームとしての攻撃の組み立ても考えながらプレーしています。どんな状況でも頭を使いながらやっているつもりです」
その言葉には自信が滲んでいた。まだベルギーでプレーしていた今年4月に「スタメンは狙っていますけど、最初から出て何もできないんだったら意味がない」と語った男とは、別人のような口ぶりだった。
そして三笘はきっぱりと、こう言った。
「ドリブルだけの選手だとは思われたくないんです」
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Kiichi Matsumoto