猪木の付き人から幾多の名勝負で闘魂継承した“飛龍”。猪木引退後の新日V字回復を牽引した“逸材”。2人は“ドラゴン殺法”伝承の師弟でもある。ともに仰いだ巨大な存在を存分に語り合った。
猪木イズムの継承者が藤波辰爾とすれば、ドラゴンイズムの継承者は棚橋弘至である。新日本プロレス50年の線をピンと張ってみれば燃える闘魂も、炎の飛龍も、そして100年に一人の逸材も一本の線でつながっている。2人は時代こそ違えど、アントニオ猪木という壁を意識しながら、身命を賭して団体を背負い、看板を守ってきた。世代を超えてじっくりとお互いを、猪木を、そして新日本プロレスを語り合う濃密な60分1本勝負のゴングが鳴る。
――今年3月1日の旗揚げ記念日にはトリオを組み、同27日の大阪大会では8人タッグで対戦されました。
棚橋 いつも驚かされるのは、藤波さんのコンディションの良さ。筋肉の一つひとつがデカくて、張りがあるんですよ。昔からの鍛錬が体にしっかりと残っていますよね。
藤波 棚橋くんは僕が新日本にいたころと随分違って見えた。トップレスラーとして地に足がついていて、まとっている雰囲気から責任感みたいなものが伝わってきたね。
――新日本の歴史を紐解くと、2人の本格的な接点は、棚橋さんが初出場する2002年夏のG1クライマックスの前。ドラゴン殺法を伝授してもらうというエピソードです。
棚橋 若手レスラーが何もなくG1に出ていっても期待感って生まれない。だから藤波さんの力をお借りしたい、と。ドラゴン殺法で戦ったら、ファンも“何だこの若手は”と目に留まるんじゃないかって思ったんです。
藤波 確か箱根にも行ったよね。(当時は)社長だったから事務所に詰めてばかり。外に出させてもらって有難かったよ(笑)。
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photograph by Kentaro Miyazaki