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[若き日本の守護神]栗林良吏「悔いのない、でき過ぎな一年」

2021/12/04
開幕から22試合連続無失点で新人記録を更新し、新人最多タイの37セーブを記録した鯉の若き守護神。1年目にして堂々たるマウンドさばきを見せ、東京五輪では胴上げ投手となった社会人ルーキーが、常に緊張と隣合わせだったという今季を振り返った。

 マウンドに向かう準備が整い、味方の攻撃が2死になると必ず1回、ブルペンのベンチに腰を下ろして出番を待つ。

「結構、僕、緊張するタイプなんです」

 プロ1年目からルーキーらしからぬマウンドさばきを見せてきた広島・栗林良吏投手の口から意外な言葉が飛び出してきた。

「だからブルペンで投げたままでマウンドに行くと、疲れ切ってしまうんです。それで1回落ち着いて、休憩してから行くようにしていました。マウンドに上がれば気持ちも自然と高まる。ならば肩だけしっかり作って、それから一度、気持ちを落ち着かせてからいこうと、かなり早い時期から、そういうルーティンになりました」

 そんなルーティンで登板した53試合。リーグ2位の37セーブを挙げ、新人記録の開幕22試合連続無失点、プロ野球歴代2位タイの20試合連続セーブを達成した。熱狂的な赤ヘルファンが待つ本拠地マツダスタジアムでは、27試合の登板でついに1点も失うことなくシーズンを終えている。

「おそらく今年の成績以上というのは、この先ももう出せないと思います。普通ならあのときこうすれば良かったとか、必ず後悔は出てくる。でも今年はそれを感じさせないくらいにでき過ぎの一年でした」

 まさか自分がクローザーを任されるとは思っていなかった春のキャンプ。そこで永川勝浩投手コーチから、フォークへの考え方を聞いてピッチングが激変した。

「自分にとって真っ直ぐとフォークは軸になる球種。ただ社会人時代からフォークは低めという思いが強かった。ところがキャンプで永川コーチから『それだと見切られるよ。ストライクゾーンから落とせば、空振りも取れるし、見逃せばストライクも取れる』と。それが今季の投球に生きているかなと思います」

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photograph by Takuya Sugiyama

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