「これは準備の最終章」。W杯開幕2週間前、指揮官自ら銘打った南アフリカ戦は、大敗に終わった。この3年間におよぶ準備には、一つのテーマがある。それは、ティア1勢すべてと戦うことだった――。(Number986号掲載)
「この何週間かの間、いろいろな人に同じことを質問されました」
9月4日、南アフリカ戦の登録メンバー発表会見の冒頭で、日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、選んだ選手の名前を読み上げる前に、こう切り出した。
「W杯の前に南アフリカと戦うのは“リスク”ではないのか? と。私にはその質問の意図がわかりません。2016年以降、すべてのティア1のチームと対戦してきた。そういう強敵と戦わなければ、自分たちの本当の力を知ることができないからです」
日本代表を長く見てきた者からすれば、質問者の気持ちは想像できる。W杯の直前にケガ人が出る怖れはないか。大差で負けたりしたら、せっかくパシフィック・ネーションズカップの優勝で盛り上がっているチームの勢いが殺がれはしないか……。
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photograph by Yuka Shiga