高校1年の夏に甲子園の舞台を踏み、初戦から5試合に先発して4完封。自身も「大ちゃんフィーバー」を巻き起こしたレジェンドが、憧れと驚愕の旋風たちを回想する。(Number984号掲載)
甲子園に憧れを抱いたのは、中学に入学するころ。4歳上の兄が早実の一員としてセンバツに出場したのがきっかけです。でも、それ以前に最初に甲子園を意識し、純粋に「カッコいいな」と感じたのは、東海大相模の原辰徳さんでした。当時の僕は10歳になるかならないかでしたけど、幼心に「真っ黒に日焼けした笑顔がカッコいい」と思っていました。今考えれば、それは仮面ライダーやウルトラマンみたいなヒーローへの憧れと似たものだったんでしょうね。
原さんと同時代の甲子園には、後にヤクルトで一緒になる高知の杉村(繁)さん、鹿児島実業の定岡(正二)さんなど、人気選手もいらしたのに、原さんしか目に入らなかった。野球のことはまだよくわかっていなかった頃なので、具体的な試合やシーンは覚えていないですけど、とにかく「原さんはカッコいいな」と感じたことはハッキリ覚えています。子どもにまでそう思わせるのだから、あのときの東海大相模、いや、原さん自身が旋風だと言っていいんじゃないでしょうか。自分も「大ちゃんフィーバー」と呼ばれていましたが、フィーバーといえば、原さんが始まりだったのではと僕は思いますね。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Miki Fukano