チーム・スタッフに聞くと「ニキはキャンピングカーにいる」と言われた。ドアをノックし出てきた人に、少しインタビューできないかと頼んだ。ダメかと思いながら待っていると本人が現れた。目と目が合った。
数十cmの距離で大火傷を負った顔を見た瞬間、怖くなった。'76年ドイツGPの炎上事故後、イタリアGPから復帰。首位ラウダ対ハントの最終決戦「F1世界選手権イン・ジャパン」(富士スピードウェイ)での出来事だ。
頭が真っ白になり、質問ができない。とにかく会釈する。傷跡を正視できずおどおどと、拙い取材を始めた。移植された周りの皮膚のせいか目は冷たく、表情がない。それでも日本の若い記者に平然と応じる余裕を感じた。
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