心が躍るようでもあり、緊張感も漂う初日だった。メジャー19年目を迎えるマリナーズ・イチローのキャンプが2月16日、スタートした。アリゾナ州ピオリアは'01年、メジャーでの第一歩を記した場所でもあり、違和感や戸惑いはない。だが、初めて招待選手として参加する今回は、特別な感情も覚えていた。
「イチロー選手って呼ばれるのが気持ちいいわね」
古巣マリナーズに電撃復帰した昨年は、開幕戦でスタメンに名前を連ねたものの、5月3日、登録枠を外れ、「会長付特別補佐」となった。それでも、これまで同様、練習を継続した。言うまでもなく、視線の先にあったのは、メジャーの舞台だった。同時に、周囲からは年齢に伴う限界説も漏れ伝わってきた。その一方で、イチローの思いを知るマリナーズが、現役への扉を閉ざすことはなかった。ジェリー・ディポトGMは、早い時期から今年3月の日本開幕戦への帯同を明言。マイナー契約ながら招待選手としてキャンプに参加することが決まった。ただ、イチローの今後が不透明であることに変わりはない。昨オフのマリナーズは主力選手を大量放出し、抜本的なチーム改革へ向けて、大きく舵を切った。若手育成を推進する上で、大ベテランの立ち位置は定まっていない。
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photograph by KYODO