松坂大輔が背中の痙攣で古巣のマウンドに立つことができず、狭山の丘に悲鳴が轟いた6月17日。松坂世代の一人が、世代初の指揮官として杜の都でタクトを振った。梨田昌孝監督の辞任に伴い、イーグルスの監督代行を務めることになった、38歳の平石洋介である。平石監督代行はこうコメントした。
「残り80試合、借金20のチームを立て直すのは厳しいところもあると思いますけど、腹を括ってやるしかない。これだけたくさんの方に球場に来てもらっているんですから、もっと熱い姿を見て頂きたいと思っています」
PL学園でも同志社大でも主将を務めた平石は、トヨタ自動車を経て、2005年、球団創設直後のイーグルスへドラフト第1期生として入団する。その後、7年間プレーしたもののケガに泣かされ、一軍出場はわずか122試合に留まった。'11年のオフには育成コーチへの就任を要請され、戦力外通告を受ける。それでも現役への未練を断ち切れなかった、当時31歳の平石は、トライアウトを受けるか、トヨタ自動車に戻って社会人でプレーするか、思い悩んでいた。そんなとき、平石は恩師のこんな言葉に背中を押される。
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photograph by KYODO