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<独占インタビュー>村田諒太「邪念の先に見えたもの」

2018/05/03
8回2分56秒、右ストレートでTKO。
イタリア人アウトボクサーを下し、世界ミドル級王座の初防衛を果たした。
KO勝ちが求められる重圧のなかで、王者は新たな境地に達していた。

 多読から、一読へ。

 イタリアから挑戦者エマヌエーレ・ブランダムラを迎える初防衛戦を前に、村田諒太は最終調整で数日過ごすことになる都内のホテルに一冊の本を持ち込んでいた。

 心理学者ビクトール・フランクルの『夜と霧』。第二次世界大戦中、ナチスの強制収容所での体験を基に生きる意味を記したフランクルの代表作である。村田は“戦場”へ向かう前に、なぜ読み込んできたこの本をバッグに忍ばせたのか――。


 初防衛を果たしてから4日後、穏やかな表情の彼が待っていた。『夜と霧』の話から切り出すと、読書家はこう応じた。

「その本について何を見ようとしているのか、が人にはあって、今の自分にとって必要な箇所というものを見るわけです。読者である自分の心理が変われば、読むところ、心に触るところが変わってくる」

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photograph by Hiroaki Yamaguchi

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