#936

記事を
ブックマークする

スプリンターはロードレースを走る。~桐生祥秀の9.98は、100m走の興味をタイムから勝敗に移すか~

2017/10/06

 それは必ず破られる記録であり不滅の記憶でもある。もし明日に9秒97の優勝者がレンガ色のトラックを躍り、明後日に9.96の数字が電光掲示されたとしても「2017年9月9日の9秒98」は永遠だ。

 桐生祥秀。東洋大学法学部企業法学科4年。さあ、ここからは「日本」が続くぞ。インカレこと日本学生対校選手権において9秒98の日本記録を達成、日本選手で初めて10秒を切った。

 そこまでの日本記録は「10秒00」。1998年12月13日、タイの首都バンコク。アジア大会の準決勝で28歳の伊東浩司が叩き出した。フィニッシュ直後、場内に「9.99」と示された。だが、ほどなく「10.00」と訂正される。速報の見直しは珍しくなかった。0.01秒は距離換算で10cm。文庫本の横幅ほどの差だ。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by KYODO

0

0

0

前記事 次記事