井伏鱒二の短編、「草野球の球審」に本書の著者が“登場”する。草野球の球審が、好きな球審を話すのだが、「プロでは、セ・リーグの島さんだね。それからパ・リーグの二出川さん。二出川さんはストライクは、ツェーという。島さんだったらキリギリスのような声で、スヒークとやるね」。本書はキリギリス声(?)の島審判員の回想記だ。
著者はプロ野球発足と同時に高校の先輩、二出川延明に誘われ金鯱に外野手として入団した。2年で肩を壊し審判に転身したが、監督になった二出川は事情があって一足早く審判に転じていた。審判部門のけん引車の2人をファンは「動の二出川、静の島」と言い習わした。先輩・二出川の思い出がしばしば出る。二出川が「アウト」にしたプレーが、翌日の新聞写真では明らかに「セーフ」。新聞を見せられ「ミスをしたのでは」とリーグ会長に問われ、「これは写真が間違っています!」。
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photograph by Sports Graphic Number