思わぬ結果に約16万人の大観衆が驚いたが、それはある敗戦の反省から綿密に練られた計画だった。11年の時を経て、騎手ルメールが初めて明かした作戦とは。
2005年12月25日、クリスマス当日に行われた第50回有馬記念は、無傷のグランプリ制覇に挑むディープインパクトが断然の主役と目されたレースである。しかし爆発的な末脚を武器に連勝街道を歩んできた三冠馬の前には、意表を突く先行策に打って出たハーツクライが立ちはだかった。
ディープインパクトに初めての土をつけたあの勝利は、奇襲を実らせた金星と解釈されることが多い。だが、そうではなかった。そもそも私たちの目にはハーツクライという馬の“本質”が見えていなかったのだ。勝利に導いたクリストフ・ルメール騎手の回想を聞くと、そのことがよく分かる。
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photograph by Keiji Ishikawa