期待された試合が、それを上回る内容の好ファイトになるというのも珍しい。去る9月16日、大阪のダブル世界タイトル戦。長谷川穂積の5年ぶりの王座復帰と3階級制覇も劇的だったが、メインの山中慎介―アンセルモ・モレノのリマッチも凄かった。倒し倒され、また倒すというあきれるほどの展開で、最後は山中が豪快にモレノを沈め、公言していたように「明白な決着」をつけた。
「強打の山中対技術のモレノ」といわれたが、ジャブの名手モレノに対し、負けていなかった山中のテクニックにも唸らされた。試合が派手な倒し合いとなったのは、いつもは慎重なモレノが、明白に勝ちたいと攻撃にはやった分、守りが手薄になったためで、その僅かな隙を突いて“ゴッドレフト”を打ち込んだ山中の決断力も凄かった。一流同士の息詰まる接戦に終始した前戦もスリリングだったが、今度の再戦はそれ以上の名勝負としてファンの記憶に刻まれたに違いない。
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photograph by Tomoaki Yanomori