4年後に迎える東京オリンピックを祝福する気になれない人は、かなり多いのではなかろうか。競技場やロゴ問題のドタバタ。招致活動での使途不明金。決定直後はあんなにもワクワクしていたのに、最近はネガティブな話題で押しつぶされそうだ。そんな中、偶然にも火中の栗拾いをすることになった建築家の隈研吾。最新刊『なぜぼくが新国立競技場をつくるのか』では、1度目のコンペで傍観者だった彼が、なぜ新競技場のプロジェクトを手掛けることになり、どんなことを試みたいのかを語る一冊だ。
断っておくが、本書はコンペの内幕を暴露する本ではない。顛末は語られるものの、核となるのは隈が新競技場で用いる「木の建築」という手法がいかに未来志向であり、日本的であるかということ。
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photograph by Wataru Sato