「そう、小倉球場の試合ではね、えらい雨が降ってね。ベーブ・ルースの野郎が傘さして、長靴履いて一塁を守ってた」。語るのは苅田久徳、プロ野球創成期の名二塁手だ。昭和9年(1934年)の大リーグ選抜チームとの試合の思い出。苅田も認めた名二塁手・千葉茂は“ライト打ちの名人”でもあった。「ライト打ちっていうのはね、頭はいるけど力はいらない」と打撃術を楽しげに続ける。フォークボールの杉下茂は“魔球”会得秘話から使い方の美学まで、延々と披瀝する。ウォーリー与那嶺の「日本野球を変えた」走塁は自身が持ち込んだ直輸入ではなく、「日米野球で来た大リーガーに聞いて」磨いた。「1年でも悪かったら、ガイジンはすぐクビになっちゃうからね」。
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