北イングランドの丘陵地にある自宅農場でアンドリュー・ジェニングスの電話が鳴ったのは2015年5月27日早朝。その日はサッカー界に激震が走った日だった。スイスの超高級ホテル、ボーオーラックで眠りこけていたFIFA幹部7人が一斉に逮捕されたのだ。
だが、71歳のベテラン調査報道記者は「もっと寝ていたかったから」という理由で、電話を切ってしまう。「どんな話でも、朝の六時に起きたことなら、昼頃わかったって遅くないだろ?」。それが、この大スキャンダルを暴いた一匹狼のジャーナリストが貫く姿勢だ。ジェニングスは、ゆっくりと几帳面に、そして驚くほど粘り強く、証拠資料を集める男。
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photograph by Wataru Sato