映画に予言されたカブスの快進撃、「ミラクル男」の6試合連続本塁打など、驚きに満ちた秋を制したのは、1年前、「あと1勝」に泣いたチームだった。
“アメージング”といえば“ミラクル”と並ぶメッツの形容詞である。が、今年はワイルドカードゲームで先発した田中将大が投じた初球から、ウェード・デービスが最後の打者ウィルマー・フローレスを快速球で仕留め、ロイヤルズのワールドシリーズ優勝が決まる瞬間まで、ポストシーズンは様々な“アメージング”の連続だった――。
ワールドシリーズは第1戦から、まさに仰天プレーによって始まった。
1回裏、リーグ優勝決定シリーズでMVPに輝いた先頭打者アルシデス・エスコバルがマット・ハービーの初球を左中間に強烈な一打。これを左翼マイケル・コンフォートと中堅ヨエニス・セスぺデスが追う。しかし、落下地点直前で譲り合うようなかたちになり、打球はセスぺデスの左足を直撃。これが左翼方向へと転がる間に、エスコバルは俊足を生かしてホームを駆け抜ける。ワールドシリーズでは86年ぶりとなるランニングホームラン。先頭打者では実に1903年以来のことだった。
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photograph by Yukihito Taguchi