梅雨が明け、熱い日差しが照りつける7月の名古屋場所。初日を翌日に控えた旭天鵬は、しみじみと語っていたものだった。
「ここんとこ毎場所、いつ辞めてもいい覚悟で上がっているからね。もう、1日1日を楽しんで、目に焼き付けるように土俵に上がる気持ち。5月場所でも、3連敗した10日目、嫁さんに、『今場所で終わるかもしれないから。覚悟しといて』と言ったんだけど、どうにか勝ち越せた。これからもその繰り返しかなぁ。もちろん、引退は考えると本当に寂しいけど、誰にでもいつかは来ることだしね。しょうがないよね……」
そう言い終えると、痛む腰の治療のため、いつのまにかその姿を消していた。
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photograph by KYODO