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チームは一歩ずつ階段を上る。 ~野村謙二郎が記したカープの成長~

2015/03/17

 今年こそは広島東洋カープの年になる。緒方新監督が就任した赤ヘル軍団に期待を寄せるファンがいつも以上に多いことは、野球界を包む空気に現れている。黒田の日本球界復帰や「キクマル」コンビなどに代表される若手の底上げなど、ポジティブな側面は実に多い。だが、24年ぶりの優勝を狙うチームが急にできあがったわけではないことが、この本からは見えてくる。すべては一歩ずつ踏みしめ上ってきた階段の上に在るのだ。

「暴走教師」から皆に委ねるスタイルに変更して。

 カープ前監督の野村謙二郎が綴った5年間の苦闘の記録。それが『変わるしかなかった。』だ。監督を「やりたい/やりたくない」という選択肢では捉えず、「家業を継ぐ」ような必然として考えていた野村。1年目、チームにインパクトを与えようと「暴走教師」のように選手と向かい合うが、すぐに状態が上向くほど野球は甘いものではない。この年ブレイクしたマエケンが投手三冠+沢村賞をとったにも関わらず、チーム防御率は4.80。投手陣は崩壊状態で、首位の中日には21.5ゲーム差をつけられた。

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photograph by Wataru Sato

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