行く末がぼやけていても、カブス藤川球児は柔らかな表情で、厳しいはずのリハビリを繰り返していた。6月11日に「トミー・ジョン」と言われる右肘の腱再建手術を受けて以来、キャンプ施設のある米アリゾナ州メサで、孤独なトレーニングを続けている。すでにキャッチボールを再開し、徐々に距離を伸ばすなど、順調な回復を見せてきた。
「怖さはないです。新しい靱帯が入っているんですが、肘のなじむ感じはありますしね。暗くなる必要はないですよ」
現時点で、復帰時期は具体的に定めていない。他の手術経験者の例からすれば、1年後の来年6月前後が目安となる。それでも、「遅れることはあっても、早めることはしない」と、ペースを上げることには慎重な姿勢を崩さない。もちろん、不安はある。だが、「戻れないことへの不安は自分との戦い」と、サラリと言う。その裏には、メジャーで戦えるという確たる自信があるからだった。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by NIKKAN SPORTS