#813
巻頭特集

記事を
ブックマークする

<激戦のインディ500を振り返る> 佐藤琢磨 「ワンチャンスに賭けた1コーナーの真相」

世界3大レースの1つに新たな歴史が刻まれると
誰もが信じた次の瞬間、来るべき栄光は無情にも消え去った。
果敢に攻めた“勇者”がその一部始終と思いを語った。

「一時は“勝てる!”って思ったんですけど、残念な結果に終わりました。でも、エキサイティングなレースでした」

 インディカー・シリーズ最終戦が行なわれた、カリフォルニア州フォンタナのオートクラブ・スピードウェイ。エンジン交換によるペナルティを受けて21位からスタートした佐藤琢磨は、500マイルレース(2マイルオーバル×250周)の序盤にポジションを上げた後、大混戦のなかで常にトップ5以内を走る健闘を見せた。カリフォルニア、そして日本から応援にやって来たファンの前で首位争いも演じたレースは、彼らしさに満ちた見応えのあるものだった。しかし終盤のイエローコーション、赤旗中断後の再スタートでは前戦のボルチモアと同様、エンジンが息をつく問題を抱え、ポジションを守るのも精一杯。苦しんだ結果、最終ラップでグリップを失い、ウォールに当たって7位でレースを終えた。

 速さを発揮しながら、トラブルとの戦いの末、最後は足元をすくわれた。今シーズンの一面を象徴するようなレースだった。

インディ参戦3年目、伝統のインディ500で実現するはずだった夢。

 インディシリーズ3年目。何度もトップを走り、「このレースこそ」とつかみかけた勝利は、そのたびに指の隙間からこぼれていった。4月29日の第4戦サンパウロ(市街地)では初めての表彰台=3位。7月22日のエドモントン(空港特設コース)では2位。しかしそれ以上の速さを証明したレースがいくつもあった。とりわけ、伝統のインディ500マイルレースでは――5月末のあの日曜深夜から月曜未明、日本ではいくつの歓声と悲鳴が生まれたことだろう?

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Futoshi Osako

0

0

0

前記事 次記事