挙げてきたサムライと、全米大注目の「100マイルの豪腕」。
投手新時代を象徴する二人への評価を、現地で聞いた。
投手上位時代にニューウェーブが押し寄せた――。第83回オールスターゲーム(10日、カンザスシティ)はナ・リーグが8対0で圧勝したが、両リーグ合わせて28人選出された投手のうち、'86年以降生まれの若手が実に10人も占めた。
「何年かに一度、将来のエースになるような若手投手が一斉に台頭することがある。最近ではリンスカムやケイン(ジャイアンツ)、ハメルズ(フィリーズ)らが出てきたときだけど、今も同じような現象が起こっている。31歳のオレはもう年寄り投手の部類だよ」
と、笑いながら語ってくれたのは、エンゼルスのエース、C・J・ウィルソンだ。
カンザスシティでは39年ぶりの開催となった今回のオールスターゲーム。選手紹介のアナウンスの際には敵味方隔てのない大きな拍手が巻き起こり、カウフマン・スタジアムに初々しい姿が並んだ。その光景は、新しい時代の到来を強く印象付けていた。ダルビッシュ有は晴れのマウンドに立つことこそなかったが、このニューウェーブの代表的なひとりであることに変わりはない。
前半戦折り返し時点で、10勝5敗、防御率3.59。「申し分のない働きをした」と、ロン・ワシントン監督はいう。この言葉に異を唱える者など、おそらくいないだろう。スプリングトレーニングが始まった当初、ワシントン監督は次のように語っていた。
「FA移籍したC・Jが昨年勝った分、16勝を稼いでくれることに越したことはない」
ダルビッシュ獲りに失敗した球団は「悔しい思いをしている」。
あれから5カ月。レギュラーシーズンの半分を少し過ぎたところで、期待値達成へのカウントダウンは早くも「6」となっている。3年連続の地区優勝、悲願のワールドシリーズ優勝に向けて首位を突っ走るレンジャーズ。ダルビッシュはチーム内での存在感を増しているのはもちろん、メジャー球界における実力評価も確実に上げてきた。
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