実に長かった60周年シーズン、8カ月におよぶ全19戦はハードな行程だった。他のプロスポーツで、2週連続で南米と中東で開催されるイベントがあるだろうか。コンディショニング面で今年は最後まで非常に厳しかったと思う。
その大陸間の連戦で2連勝したS・ベッテルが、アブダビGPで初めて単独ポイントリーダーとなり、F・アロンソを逆転して年間王者に輝いた。スピードこそすべてだった。序盤にはマシントラブル、中盤にはチーム内で采配をめぐる混乱も起きていたが、それらを克服した。
ベストマシンではないながらもよく追い上げ、いったん首位に立ったアロンソの総合力も際立った。M・ウェバーは中盤まで健闘したものの終盤は脆さが見られ、心身ともに燃え尽きた感があった。3勝したL・ハミルトンのアグレッシブな激走は“雨のバトン”の2勝とは違うスタイルで、まさに2人は動と静と言えた。
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photograph by KYODO