守りの堅い相手に、ボディを攻めて意識を下に集中させ、一転、ガードの手薄になった顔面に強烈な右フックを打ち込む――内山高志がセオリー通りの攻めでインドネシアの刺客ロイ・ムクリスを撃退。豪快かつ頭脳的なTKO勝ちで、WBA世界スーパーフェザー級王座の2度目の防衛に成功した。
内山の評判が右肩上がりだ。1月の王座獲得戦を含め、3度の世界戦をすべてKOで終わらせたのは、日本人世界王者として初。単なるスラッガーではなく、アマチュアで頂点を極めた技術的ベースも、確かな試合運びにつながっている。
倒しっぷりは派手だが、素顔は常に謙虚さを忘れない大人のボクサーである。アマチュア時から人一倍の練習を積む努力家として知られ、「恐れず、驕らず、侮らず」(出身校である花咲徳栄高校ボクシング部のモットー)を体現している。今回も試合後の敗者を思いやる態度にチャンピオンかくあるべしと好感を抱いたファンも多かったに違いない。
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photograph by BOXING BEAT