東洋人と無名のアフリカ人が米国のど真ん中テキサス州アーリントンのカウボーイズスタジアムで戦うのを見ようと、実に5万人超の大観衆が詰めかけたというから驚きである。3月13日、今や世界のスーパースターとなったマニー・パッキアオが、ガーナ人ジョシュア・クロッティ相手にワンマンショーを演じ、大差判定勝ちを飾った。
これで俄然、宿敵フロイド・メイウェザーとの対決に期待が集まるが、フィリピンの国民的英雄の次の戦いの場はリングではない。しばらくボクシングを休んで、5月に予定される国政選挙に打って出る。何を酔狂な……などと笑ってはいけない。パッキアオの政治に対する思いは付け焼き刃ではない。4年前、友人の試合の応援のため来日した際に取材する機会があったが、そのときすでに「私の国には貧しい人々が多く、彼らを助けたい。そのためには、政治家にならなければ何もできない」と語っていたのだ。成功したチャンピオンがよく口にする夢のような話だが、パッキアオは本気だった。実際、3年前に初めて立候補した。
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