年度代表馬の栄誉に2年連続で輝いたウオッカが見せ場もなく馬群に沈んでいく悲しい光景を見送った直後、大外から目にも鮮やかな赤い勝負服を躍らせながら、一気に伸びてきたのが秋華賞馬レッドディザイア(牝4歳、栗東・松永幹夫厩舎)だ。レース前はウオッカの“付き人”程度の認識でしかなかったこの馬が、その僅か2分後には世界屈指の牝馬としてにわかに脚光を浴びた。
それもそのはず。殊勲の星をかちとったレースは、ドバイワールドカップ(3月27日、アラブ首長国連邦ドバイ、メイダン競馬場、オールウェザー2000m、GI)のいくつかあるステップレースの中で最も重要な位置づけをされていた、アル・マクトゥームチャレンジ・ラウンドIII(メイダン競馬場、オールウェザー2000m、GII)という大一番だったからだ。当然ながら相手は超強力。2着に逃げ粘ったグロリアデカンペオンは昨年のドバイWCの2着馬で、1月に行なわれたアル・マクトゥームチャレンジ・ラウンドIを制した勢いのある馬だったし、4着のアリーバーは同ラウンドIIを勝ち上がってきていた。7着に敗れたキャバルリーマンは凱旋門賞を3着した有名強豪で、ブックメーカーのオッズ(ドバイでは宗教上の理由で馬券の発売がない)では断然の1番人気に支持された存在。ウオッカでも勝つのは難しいと言われたメンバーだったわけで、まさにただごとではない勝利だったのだ。
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photograph by Yoko Kunihiro