スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ダスティ・ベイカーと最大の宿願。
~名将が狙うWシリーズ初制覇~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2011/03/01 10:30
選手時代も、1977年、1978年にワールドシリーズに進出したが、リング獲得はならなかった
フィリーズとジャイアンツの投手力は相当に厚い壁。
果たしてベイカーは「第2のモーク」として球史に名を刻むことになるのか。それとも今後数年の間に、宿願をかなえて王者の指輪を手にすることができるのだろうか。
ここは微妙だ。
彼が率いるレッズは、若手の急成長が眼につくチームだ。
2010年のNLDSではフィリーズに叩きのめされてしまったが、今季は投手陣の充実がめざましい。ジョニー・クエト、エディンソン・ボルケス、さらにはキューバからやってきたアロルディス・チャップマンが順調に伸びれば、ナ・リーグで大穴をあける可能性がまったくないわけではない。
ただ、フィリーズとジャイアンツの投手力は相当に厚い壁だ。
ジョーイ・ヴォット、ジェイ・ブルース、ドゥルー・スタブスといった若手打者たちが2強の剛腕投手陣を打ち砕くほど本格的に成長するのには、もう少し時間がかかるかもしれない。ベイカーも、その事実は承知しているはずだ。私は今季、ツインズのロン・ガーデンハイア(この人もワールドシリーズ制覇の経験がない)とベイカーの采配に注目するつもりでいる。