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「西武2位指名は予想外でした」「順位縛りを条件に」ドラフト当日のドタバタ劇…消滅しかけた社会人野球・ヤマハの逆襲、企業野球部の“存在意義”とは
text by

井上幸太Kota Inoue
photograph byKota Inoue
posted2026/10/21 11:02
静岡県浜松市にある社会人野球・ヤマハの練習施設
「情報を聞いたりはするんですけど、絶対はないので。最後は自分たちが見てきた評価になります。岩城の場合は、『3位までなら確実にかかる。でも、上位24人には入らない』と、3年生の段階で思ったんです。それで、ウチとしても決めたい大学3年春の時点で『2位縛りでお願いします、難しいならば言ってください』と伝えました」
取り逃がすケースも…昨年の話
結果的に岩城は4年時に活躍し、ヤマハの見立てよりも評価を上昇させていた。
ドラフト当日、岩城を熱心に追っていた球団が別の選手を2位指名し、ヤマハ首脳陣は「よし!」と思った。が、西武が2位でコール。縁はつながらなかったが、申原はスカウト就任以降のアプローチに手ごたえを感じてもいる。
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「西武は予想外でした。でも、それだけ欲しかったから2位にしたわけで、岩城にとってもよかったと思います。順位縛りをすると獲れる可能性は高くなりますけど、順位縛りを条件にすると断られることもあるのが難しい。どうしてもプロに行きたい選手は、縛りのない企業があったら、そっちを選ぶので。岩城は『社会人ならヤマハでやりたい』と言ってくれたので、縛りをかけられました。最近は岩城のように『ヤマハでやりたい』と思ってくれる、そう思わせられるようになってきたとも感じています」
岩城らのように、従来は指名漏れに備えて進路先を確保しておくのが一般的だったが、近年は事前に受け皿を用意せず、ドラフト終了後に進路を決めるケースも増えている。トレンドを踏まえて、嶋岡が解説する。
「力のある選手だと、プロ一本で漏れたとしてもどこかに獲ってもらえるので、ある意味強気に待てるところがありますね。うちも、ドラフト当日は忙しくなる。補強ポイントに照らし合わせて、ドラフトで指名漏れの可能性がある選手はあらかじめリストアップしていますし、プロで戦力外になった選手もチェックしてます。ドラフト中に『この選手はかかった、かからなかった』と情報を更新していって、ほしい選手がいれば、当日に動く。これもまた“争奪戦”なんですよ」
「ドラフト当日は気が気じゃない」
今年は高卒6年目の相羽寛太が指名される可能性があり、さらに補強ポイントとして内定を出した大学生内野手はプロ待ち。相羽とその大学生の両方が指名されれば、指名漏れした内野手を探さねばならない。
ここにもまた、社会人野球チーム故のドラフトの悲哀がある。学生野球の場合、ドラフト指名の有無に関わらず、その選手は卒業して巣立っていくが、社会人の場合は基本的に所属先に“残留”。プロ入りを熱望する選手にとっては酷なことだが、チームにとって指名漏れは戦力を保てるメリットもあるのだ。


