甲子園の風BACK NUMBER
メジャーが欲しがった“無名公立校の18歳”なぜ社会人野球に進んだのか? 「高卒プロの7割がわずか5年で戦力外」本人が明かした“進路決定”ウラ側
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井上幸太Kota Inoue
photograph byKota Inoue
posted2026/10/21 11:01
今春からヤマハでプレーする芹澤大地
「横取りはしてないですよ」
「高校生に話をするとき、進学希望かどうかまず確認します。『進学です』と言われたら、それを引っくり返してまで声をかけるのは、一切やっていません。大学を出た後に、またご縁があるかもしれないですからね。だから、大学の監督にもお伝えしてるんです、『横取りはしてないですよ』って」
それを踏まえ、多くの高校生を見てきた上での所感を続けた。
「でも、今は時代とともに『ただ大学に行くだけでいいのか』とか、色んなことを考えるご家庭が増えている印象がありますね。(自身がスカウト、監督として現場に戻ってからの)この4年間は特に。高卒でプロに行っても早ければ、21歳ぐらいで現役が終わる可能性もある。そこを心配されて、もし現役がだめでも仕事があって、生活ができる社会人野球に関心を持たれる方も少なくない気がします」
高卒プロの7割は「5年でクビ」
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嶋岡も高校生とその保護者に対して、強調するデータがある。
「プロに入って、3年から5年で上がる(クビになる)確率が、約70パーセント。ほとんどがそれぐらいの年数でいなくなる。その年数で切られてしまうと、高卒の下位指名だと、球団に残れないんですよ。それが、大卒や社会人出身で人間性がちゃんとしていれば、スカウトや用具(担当)で残れる可能性がグッと高くなるので。下位指名の可能性がある高校生には、『おそらく高卒でもプロに行けると思う』と伝えながらも、『でも自分の見立てだと下位にはなる。こういったリスクもある』と伝えます」
ヤマハでは高卒選手も大学生と同じ「総合職」での採用となる。世界的な音響メーカーであり、静岡のリーディングカンパニー。芹澤が「親もヤマハということで安心してくれました」と明かしたように、高校生の親にとっても安心材料となる。
入社1年目にもかかわらず、芹澤の注目度は高く、先日もヤンキースの上層部が視察に訪れ、「グ~ッド!!」と言い残したそうだ。本人はヤマハの先のステージを国内にするか、国外にするか固めていないというが、“芹澤狂騒曲”は早くもはじまっている。
取材が一息ついたからか、申原は余所行きの「芹澤」ではなく、「芹ちゃん」と呼びながら冗談っぽく続けた。
「芹ちゃんに言ってるんです、『ヤマハで活躍してから行ってね』って(笑)」
じつはドラフト会議で話題になる「順位縛り」も社会人野球の事情が絡んでいた――。
〈つづく〉

