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「入門2日で逃亡」のスタートから…さらば天山広吉、新日本一筋35年の激闘を語る「モンゴリアンチョップは『これやっちゃえよ』ではじまった」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAsami Enomoto
posted2026/08/25 11:00
8月15日に引退試合を行い、35年のプロレスラー生活に別れを告げた天山広吉。にわかには信じがたい現役時代の秘話の数々を語ってくれた
「部屋で三沢さんと一緒に昔のプロレスの映像を観ていたんです。アンドレ・ザ・ジャイアントさんとキラー・カーンさんの試合で、カーンさんのモンゴリアンチョップのときに、ケガで休んでいた三沢さんが突然『これ使えばいいんじゃないの?』って言ってきたんです。
ボソボソした声なんで、独り言かなと思って流していたら『山本、これやっちゃえよ』って。どうして俺に? だったら自分が復帰したときにやればいいのにって心のなかでは思ってはいたんですけど、俺も『使っちゃっていいんですかね』と返したら、三沢さんも『小沢(正志/キラー・カーン)さん引退したから大丈夫でしょ』と。それで使うことになったんです」
いやいや、先輩から提案されようがあまり気乗りしなければ何となく濁して、スルーしちゃえばいいだけのこと。でもせっかく言ってくれたんだから、と取り入れてみるのが人のいい山本青年。
モンゴリアンチョップ「シュー」誕生秘話
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ヤングライオンはドロップキック、チョップ、ヘッドロック、ボディスラム、エビ固めなど基本技で組み立てていくという掟があるのだが、そこに振り上げた両手を手刀にして首筋に打ち込むモンゴリアンチョップを加えてみると、自分なりの個性を出せた感覚があった。本家本元のカーンを真似ることから始め、山本=モンゴリアンチョップの継承者というイメージを植えつけていった。
ヤングライオンは海外修行に出向くのが新日本の通例。オーストリア・グラーツに拠点を置くCWAに参戦し、日本からやってきたヒールの「ヒロ・ヤマモト」のリングネームで大暴れする。
ここでもモンゴリアンチョップが、ヒロ・ヤマモトのアイコンになる。空手の呼吸法を取り入れ、ついにあの「シュー」が生まれたのだ。
「自分が行った欧州の団体では、試合前にレスラーが1人ずつ入ってリングサイドを周って自己紹介みたいなことをやるんです。空手の道着を身につけて、そこで空手のキックとかちょっとしたアクションを見せていたんですけど、アブドーラ・ザ・ブッチャーさんとかTNTさんが空手の呼吸法みたいなのを使っていたのを思い出して、『シュー』って言いながらチョップをやるようにしたら、それが定着していく感じになっていきました」
やがて欧州から、カナダのカルガリーに渡ることになる。まさにターニングポイントとなる出会いが待っていた。

