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34歳“カイザー”が電撃帰還で「カォルー!」とハグ…ドルトムントから復帰の遅咲きMFに三笘薫も絶大な信頼「攻撃で違いが作れる選手」

posted2026/01/05 06:00

 
34歳“カイザー”が電撃帰還で「カォルー!」とハグ…ドルトムントから復帰の遅咲きMFに三笘薫も絶大な信頼「攻撃で違いが作れる選手」<Number Web> photograph by Getty Images

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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 2026年1月3日に行われたプレミアリーグ第20節で、ブライトンは本拠地アメックス・スタジアムでバーンリーと対戦し、2―0で勝利した。ジョルジニオ・ルターが前半29分に先制すると、後半開始直後にはヤシン・アヤリが追加点を挙げ、リーグ戦6試合ぶりの白星を飾った。

 試合後、ファビアン・ヒュルツェラー監督は「勝利だけでなく、クリーンシートで終えられたことも重要だった。選手たちは規律を保ち、高い集中力で戦ってくれた」と内容を評価し、「この結果を自信に変え、次の試合につなげたい」と語った。なお、この試合ではパスカル・グロスがブライトンへ復帰後初出場を果たし、本拠地のサポーターから大きな拍手で迎えられた。

「カォルーー!!!」

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 クラブ公式サイトに掲載された一本の動画に、冬の移籍市場で電撃復帰したパスカル・グロスの姿があった。私服姿のグロスの先には、笑顔で迎える三笘薫がいた。表記は「Kaoru」だが、グロスの発音は「カルー」に近い。二人は握手し、ハグを交わした。

 そして、主将のルイス・ダンク、GKジェイソン・スティールといった、ブライトンで古くからプレーする仲間たちとも会話を交わす。1年半ぶりに復帰したグロスを中心に、4人は自然と笑みがこぼれた。

 ドイツ人のグロスは2017年、イングランド2部からプレミアリーグに昇格したばかりのブライトンにドイツから移籍した。当時を知るクラブ番記者、アンディ・ネイラー氏によると、「加入当時のグロスは創造性豊かなトップ下の選手だった」という。しかしシーズンを重ねるごとに、目立っていったのはユーティリティ性。本職のトップ下はもちろん、セントラルMFや両サイドバック、ウイングをこなすマルチープレーヤーに進化していった。そんなグロスを、サポーターは親しみを込めてこう呼んだ。ドイツ人にちなんで「カイザー(皇帝)」と。

 一方の三笘がブライトンに復帰したのは2022年夏のこと。ベルギーのユニオンSGへのレンタル移籍を経て、イングランド南部ブライトンの一員になった。

 三笘とグロスは2シーズンを共に戦い、イタリアの智将ロベルト・デゼルビ監督の下で華麗なアタッキングフットボールを奏でた。グロスの在籍時、三笘はドイツ人MFをこう評していた。

「どのポジションでもプレーできますし、どこでも高いクオリティを見せています。潤滑油のように、他の選手の間(あいだ)に立って、味方の選手のクオリティをうまく引き出しています。しかもアシストもたくさんできる。僕もたくさん助けてもらってますし、貢献度は計りしれないです」

 興味深いのは、グロスの経歴だ。

 21歳からプレーしたドイツのインゴルシュタットでは3シーズンをドイツ2部で戦った。その後の2シーズンは、ブンデスリーガで活躍。26歳でブライトンに加入したものの、ドイツのA代表歴はまったくなかった。

 このままA代表と無縁のキャリアで終えると思われたが、ブライトンで次第に評価を高め、2023年9月に行われた強化試合の日本戦でA代表デビューを飾った。この時、なんと32歳。英メディアが「おとぎ話」と評したように、グロスは遅咲きの苦労人だ。

 そして、このままブライトンで現役を終えるのでは──。誰もがそう思っていた矢先の24年夏、グロスは「幼い頃からのファンだった」というドルトムントへの移籍を発表した。7シーズンにわたって在籍したブライトンを去ったのだ。

 そのグロスが、今冬の移籍市場で1年半ぶりにブライトンへ復帰した。ドルトムントでは出場機会に恵まれず、そんな状況にあったドイツ人MFに、ブライトンが白羽の矢を立てた。中盤のカルロス・バレバには移籍報道が出ており、チームとしてはMFの穴を埋める必要があったからだ。

 1月2日に移籍が決まり、翌3日に行われたバーンリー戦でベンチメンバー入りを果たした。グロスによると、「移籍が決まりそうだ」と分かったのは12月31日で、その2日後にイングランドに渡ったという。

 復帰戦となったそのバーンリー戦後、グロスがミックスゾーンに姿を見せた。グロスと顔なじみの番記者たちが黒山の人だかりでドイツ人MFを囲む。記者たちが「ありがとう」と声をかけると、グロスも笑みを見せて「ありがとう」と返す。グロスはこう語り始めた。

「本当に特別な気持ちだ。今日は、一日中ずっとそう感じていた。試合のメンバーに入るのは分かっていたので、今朝も早く起きた。ブライトンに来るまでの48時間は本当に慌ただしかった。それでも、チームの一員になれたことがただただ嬉しい」

 記者がさらに問いかける。「あなたがブライトンを離れてから、クラブはどう変わりましたか。違う場所のように感じるのか、それとも同じか?」。グロスは笑みを浮かべて返した。

「多くの部分は同じだね。ただ、新しい監督や新しいスタッフ、新しい選手がいる。そうした小さな部分は変わった。彼らのことをトレーニングを通してもっと知りたい。毎日一緒に仕事をすることを楽しみたい。ただ加入から1日しか経っていないので、まだそうした時間は取れていない。これからそうしていきたい」

 グロスによると、1年半前にブライトンを離れた後もチームの動向を追っていたという。「毎試合見ていたので、クラブのことは分かっている」。さらに言葉を続けた。

「新加入選手のことも知っていたが、やはり実際に一緒にプレーするのとは勝手が違う。一緒にトレーニングすれば、例えばどのタイミングでボールを欲しがるか、どう動くかといった細かい部分も分かってくる。ブライトンのポテンシャルは本当に大きい。経験とフレッシュさのバランスを上手に取っていけば、どんな相手にとっても脅威となるの間違いないね。

 1対1の局面になれば、カォルー(三笘)がいる。今日はブラヤン(グルダ)もいたし、ジョルジーニョもいた。そしてウェルベックは、今でも信じられないほど素晴らしい。だから、アグレッシブでに恐れずにやっていけば、本当に良いチームになれると思う」

 グロスの話は、プライベートにも及んだ。

「復帰が決まり、家族もとても喜んでいる。ブライトンにもたくさんの友人がいるし、子ども同士の関係もとても良い。ここには自分の人生があった。今朝もブライトンのビーチを散歩し、コーヒーをゆっくり飲んだ。この街に戻ってきたと実感したね」

 そんなグロスに対し、三笘も期待を隠そうとしない。筆者が「グロス選手の復帰が決まりました。昔から知っている選手ですが、どんな影響がありますでしょうか」と問いかけると、日本代表アタッカーはこう答えた。

「特に攻撃のところでも違いが作れる選手です。数的優位を作ったり、チームとして落ち着かせたり、キックの精度も素晴らしいものがあります。得点に関するところはチームとしても期待感がありますけど、僕自身も彼の連携プレーなど、良さがわかっている。チームとして一緒にボールを握ったり、チャンスの数を増やせればと思ってます」

 三笘の期待通り、グロスはバーンリー戦後も躍動している。プレミアリーグのマンチェスター・C戦、FA杯のマンチェスター・U戦で2試合連続の先発出場。1年半のブランクをまったく感じさせない、落ち着いたプレーでチームに貢献した。特に、味方からパスを引き出す動きとポジショニング、広い視野に裏打ちされたパスの精度が光る。

 若手選手の多いブライトンの中で、34歳のいぶし銀は、これからもチームを支え続けるはずだ。

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