NumberPREMIER ExBACK NUMBER

「僕にはゴールを確信するタイミングがある」“点取り屋”上田綺世が大学時代に語っていた“ゴール理論”「映像の記憶ではなく、写真なんです」

posted2026/07/15 17:02

 
「僕にはゴールを確信するタイミングがある」“点取り屋”上田綺世が大学時代に語っていた“ゴール理論”「映像の記憶ではなく、写真なんです」<Number Web> photograph by Miki Sano

北中米W杯チュニジア戦で2ゴールを決めた上田綺世。7年前、法政大学時代に語っていた“ゴール理論”とは…

text by

松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

PROFILE

photograph by

Miki Sano

 日本のW杯史上かつてない完全勝利を生んだのはエースの2発だった。右足で射抜き、頭で沈めた多彩なゴールはいかにして生まれたのか。現地で目の当たりにした筆者が、7年前、彼から聞いた言葉をもとに解き明かす。
 発売中のNumber7/23特別増刊号に掲載の[点取り屋の習慣]上田綺世「モンテレイで撮った2枚の写真」より内容を一部抜粋してお届けします。

「僕にはゴールを確信するタイミングがある」

 上田綺世の頭の中には、大容量のハードディスクがある。そこには、幼い頃から自らが決めた数々の得点シーンに関する記録が保存されているという。ファイル形式は文章でも、動画でもない。「写真」だ。

 後に日本代表のエースストライカーとなる青年が、まだ法政大学サッカー部の一員だった頃、ゴール理論を明かしてくれた。

「僕はサッカーについて、ノートに書いて記録することはありません。本当はやったほうがいいのかもしれないですけど。その代わり、頭の中に自分のゴールシーンをすべて入れています。映像の記憶ではなく、写真なんです。自分のプレーを振り返るときは、記憶の中にある大量の画像から引っぱり出して、なぜゴールを決めることができたのか、どの段階でシュートコースを決めたのか、他の選択肢はなかったか、分析していますね」

ADVERTISEMENT

 記憶用のシャッターを切るのは、ボールがゴールネットを揺らした瞬間ではない。

「僕にはゴールを確信するタイミングがあります。シュートを打ったら、それを止めるためにGKが跳びますよね。その伸ばした手に触れることなく、ボールが通過する瞬間です。そこまでしか見ていないから、ボールがゴールマウスのどこに転がったかはほとんど覚えていないんです」

 残念ながら、その記録用ハードディスクに、2022年にカタールで撮影された“写真”はない――。

カタールW杯での失望

 '22年11月27日。上田は地獄を味わった。カタールW杯グループステージ第2戦でスタメンに抜擢されたものの、まったく力を発揮できなかった。W杯デビューの緊張からか、序盤からトラップが安定しない。ポストプレーを試みるたびにボールを失い続け、シュートゼロのまま前半を終えた。

 ハーフタイムを挟み、ロッカールームからピッチに戻ってきた日本代表イレブンの中に、上田の姿はなかった。

「緊張はしました。でも、その中でも活躍したかったという思いも、もちろんあります。うまくいかないこともありましたけど、次に行くしかないので……しっかり準備したいと思います」

 チームも格下と見られた相手に0-1で敗れた。試合後は懸命に前を向き、報道陣からの質問に答えたが、悔しさと失望にまみれた目は、光を失っていた。

【次ページ】 北中米W杯で再び世界舞台に

1 2 NEXT
#上田綺世
#北中米W杯
#ワールドカップ

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ