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ブラジル戦勝利のウラで「また積年の課題…FW問題だ」日本通ブラジル人記者がU-20W杯“早期敗退”にガッカリ「A代表に一番近いのはコスギだ」
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沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byEurasia Sport Images/Getty Images
posted2025/10/20 17:00
フランス戦に敗れてガク然とする梅木を起こそうとする市原
「日本は、こちらの失態を反省すべきだ。そして、日本の最大の敗因はこのPKではなく、前半に数多くのチャンスを作りながら、一度も決められなかったことだと思う」
――守備陣は、この大会の4試合で90分間では無失点だった。
「全くミスがなかったわけではないが、チームとしてミスをカバーし合い、最後の局面で失点を防いだ。素晴らしい出来だった」
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――話は変わりますが、フランスのCBエルヤズ・ジダンはあのスーパースター、ジヌディーヌ・ジダンの4男。レアル・マドリーのアカデミー育ちで、身長が195cmあり、フランスの年代別代表の常連で、しかも背番号5は父親がレアル・マドリーで付けていたのと同じ……これだけ聞けばビビってしまいそうですが、彼のプレーをどう思いましたか?
「高さと強さがあり、テクニックもまずまず。ただし、時折、状況判断を間違えてミスをしていた。父親のことを全く忘れてプレーだけを見れば、それほど大した選手とは思わなかった」
イチハラとリュウノスケ、最もA代表に近いのはコスギだ
――この大会で日本で最も活躍したと評価する選手は?
「市原吏音。CBとしてチームの守備を支え、攻撃面でもPKを2本決め、精度の高いロングボールを繰り出し、なおかつ強いリーダーシップを発揮してチームを牽引した。現在、彼はすでにクラブ(RB大宮アルディージャ)でも主力となっている。日本のA代表には優れたCBが大勢いるが、いずれ代表入りするに違いない逸材だ。
攻撃陣では佐藤。タイミング良くスペースへ走り込んで、あるいはドリブル突破から多くのチャンスを作り、惜しいシュートを打ちまくった。ただし、大会を通じて無得点。決定力を高めてもらいたい」
――最も早く日本代表入りしそうな選手は?
「左サイドバックの小杉啓太。厳しいマークで敵のアタッカーを封じ、積極的な攻撃参加でも貢献した。ブラジルに勝利したとはいえ、今の日本代表はこのポジションが手薄だから、A代表から最も近い位置にいるんじゃないかな」
――このチームの長所と課題は?
「市原を中心によくまとまっており、戦術理解力が高く、状況判断も技術も優れていた。ただし、好選手は多いが、同年代で世界トップクラスの選手はいなかった。傑出したストライカーも不在。これは、日本のあらゆる年代の代表に共通する課題じゃないかな。ただし、この年代の世界で最も優れた数人はすでに世界トップクラブで主力となっており、この大会には出場していないことも忘れてはならない」
「このU-20代表は、本当に良く頑張った。とはいえ、彼らも日本のフットボールに共通する課題と無縁ではなかった」というチアゴ記者の言葉が印象的だった。〈サッカー日本代表特集:つづく〉

