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「オオタニは超クール、信じられない」ベッツやテオスカーだけでなく…敵将の“大谷翔平50-50称賛”が深い「敬遠は野球の神から見て不適切だ」
posted2024/12/22 17:02
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
AP/AFLO
「これだけ打てたことは人生でもない」
この頃からスタンドの誰もが大谷にスマートフォンのカメラを向け始めた。「50-50」まであと2本塁打。3回に左中間への適時二塁打を放つと、6回には右翼2階席へ、'01年ショーン・グリーンに並ぶ球団記録の49号2ランを運んだ。いよいよ偉業に王手をかけた。
7回の打席、快挙を期待するファンは総立ちだ。右腕マイク・バウマンのナックルカーブを左越えへ運ぶと、再び大歓声が響いた。
「今まではやっている人が少ない中での記録が多かった。比較対象が多い中での新しい記録という意味では、違いがあるかな」
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前人未到の「50-50」を決める50号2ラン。大谷は声にならない叫び声を上げてから一周した。ベンチで同僚らと熱い抱擁を交わすと、「カーテンコール」を受けて再びグラウンドへ登場。総立ちの観客席に右手を振った。
9回は相手野手ビダル・ブルーハンが登板し、「MVPコール」の中で野手から初本塁打となる51号3ラン。6安打、3本塁打、10打点はいずれも日本選手の1試合最多を更新。リーグトップの打点を120に伸ばし、'05年松井秀喜の116の日本選手シーズン最多打点も塗り替えた。
試合後の会見場はローンデポ・パークの本塁側メディアゲートを入って、すぐ左。WBC決勝・米国戦後にMVPに選ばれた大谷に用意された会見場と同じ場所だった。この3連戦前に当時の思い出を“素っ気なく”振り返っていたローンデポ・パークで記録ずくめの打棒を発揮し「これだけ打てたことは人生でもない。自分が一番ビックリしている。自分のプレーしてきた球場の中で好きな球場の一つになった」と笑った。
50-50達成当日、大谷にとって初のPS進出も決まった
48号を放った17日以降、17、18日で5三振。この日の試合前までに「構えも含めて自分が心地良いところを探しながら(室内打撃)ケージでやっていた」と修正に必死だった。ちょうど1年前の'23年9月19日に2度目の右肘手術を受け、グラウンドから離れた。オフにプロスポーツ史上最高額の10年総額7億ドル(契約時のレートで約1015億円)の大型契約でドジャースに移籍。右肘のリハビリに努めながら臨む今季は「リハビリは楽しいことばかりではない。進むこともあれば後退することもある」と沈む気持ちとも闘った。
大谷の偉業とともに、チームも大きな節目を迎えた。