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英国紙絶賛「カマダはラブリー」涙の鎌田大地25歳が「ほぼ監督」と評した長谷部誠38歳も…“小野伸二以来のヨーロッパ制覇”での仕事人ぶり
posted2024/06/08 11:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
セビージャの夜に流れた嬉し涙と悔し涙──。
ヨーロッパリーグ決勝史上でも、とびきり熱い雰囲気で開催された一戦は、延長戦を経てPK戦で決着を見た。それだけに、勝負が着いた後の両者は実に対照的だった。
勝者のひとり、アイントラハト・フランクフルトの鎌田大地は、顔を紅潮させて雄叫びを上げ、「初めて嬉しくて号泣」したことを試合後に自身のSNSで明かしている。敗れたレンジャーズを見守ったスタンドの少年は、青いシャツに涙をこぼし、それでも愛するチームを誇らしく感じたことだろう。
ドイツのフランクフルトとスコットランドのレンジャーズは、どちらも極めて熱狂的なファンにサポートされている。また双方とも、今大会で何度もアップセットを演じて頂上決戦までたどり着いてきたアンダードッグ同士だ。
19世紀に創設された両クラブの長い歴史を振り返っても、欧州カップ戦のファイナルは数えるほど。そんな滅多にない大一番を我が目で見て、選手たちを後押ししようと、欧州北部から南欧へ両チームのサポーターが大量に押し寄せていた。その数は合計15万人以上とも言われ、試合前から街で暴れたサポーターを地元警察が逮捕したとも報じられていた。
「鎌田を自由にしないことが死活問題に」
戦前の大きな注目ポイントのひとつに挙げられていたのが、フランクフルトのクリエイター、鎌田をレンジャーズがいかに抑えるかだった。
「ファイナルサードで鎌田大地を自由にしないことが、レンジャーズにとって死活問題となる」と綴ったのは英紙『ガーディアン』だ。
「この日本人プレーメーカーはラブリーかつシルキーな選手で、4強でウェストハムを下した時も印象的な活躍を披露している。(中略)もし鎌田に広いスペースを与えてしまえば、左からドリブルで侵入されたり、クレバーなパスを通されたりされて、レンジャーズは混乱させられるだろう」
実際にキックオフの笛が鳴ると、レンジャーズは守備的MFのジョン・ランドストラム──準決勝で値千金の決勝点を叩き出した28歳──に鎌田をマークさせ、フランクフルトの左サイドを警戒した。
それでも12分に、右からのパスがランドストラムの頭上を超えて鎌田に渡ると、ボックスのなかに持ち込んで決定機に。ここはレンジャーズの守備陣が懸命に対処してゴールには結びつかなかったが、フランクフルトの15番が相手にとって危険な選手であることが早くも証明された。