これは絶対に話を聞いてみなければ。そうは思ってみたものの、いきなり女性に話しかけるのもどうか。かなり迷いながら、思い切って一緒にいた男性に声をかけてみると、快くこちらの疑問に答えてくれた。

　彼女は「スタジアムから15分ほどのところに住んでいる」という地元の人。あえて聞き返すことはしなかったが、スタジアムまで歩いてくることはないだろうから、車で15分ということだろう。

彼ら、彼女らが日本を応援する理由は…

　そして彼女に、なぜ日本代表のユニフォームを着ているのかと尋ねると、「アジアの国だから」と即答だった。

「カタールは負けてしまったけれど、我々アジアの代表には勝ち進んでほしい。だから、日本を応援しています」

　最後に、写真を撮らせてもらっていいですか、と尋ねると、男性とふたりなら、と応じてくれた。

©Masaki Asada

　日本がドイツやスペインに勝利したことで、にわかに日本人気に火がついたわけではなかった。というより、彼ら、彼女らが日本を応援する理由は、もっと地に足がついたものだったと言ってもいいのかもしれない。

　しかし、だとしても、日本が今大会でまったく勝てず、からっきし弱いチームだったなら、外国人サポーターたちはこんなにも楽しそうに応援してくれただろうか。

　今大会で見せた日本代表の戦いが、同じアジアにルーツを持つ人たちの期待にも応えるものだったとしたら、こんなに誇らしいことはない。

　＜#1／ドーハは「悲劇の地」ではない？編につづく＞

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