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「負けるとしたらこういう時」9.1防衛戦で井岡一翔はなぜ苦戦したか? タトゥー騒動、薬物疑惑は落ち着いたハズだったが…
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byKYODO
posted2021/09/02 17:04
9月1日に開催されたWBO世界スーパー・フライ級王者の井岡一翔3度目の防衛戦
目標である“統一戦”の実現は?
今回の指名試合をクリアしたことにより、井岡はかねて目標としている統一戦に突き進もうとしている。ターゲットはIBF同級王者のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)。井岡は「アンカハスと交渉してもらってベルト2本にして、ローマン・ゴンサレスとエストラーダの2本取ったほうとやろうよという感じです」と希望を口にした。
このクラスを牽引するゴンサレス(帝拳=ニカラグア)とエストラーダ(メキシコ)は3月、WBAとWBCのベルトをかけて対戦してエストラーダが勝利した。両者は10月に再戦することが発表され、これに合わせてWBCは新たに王座決定戦の開催を決定。この勝者をゴンサレスとエストラーダの勝者と対戦させるレールを敷いた。いずれにしてもゴンサレスとエストラーダの勝者がスーパー・フライ級のトップと評されるのは間違いなく、井岡にしてみれば2冠王者としてこの勝者と対戦するのが理想というわけだ。
今回の試合を物足りないと感じたファンもいるだろうが、長い防衛ロードの中にはこういう試合は必ずある。厳しい試合をものにするのもまたチャンピオンの実力であり、苦しい経験は王者の力にさらなる厚みを加える。年末のアンカハス戦、そして来年の複数団体統一戦が実現することに期待したい。