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「“女性スポーツ界も頑張ろう”という表現が嫌いなんです」 サッカー強豪校やドイツでプレーした下山田志帆が考える“プロの価値”って?
posted2021/04/29 17:02
text by
中﨑史菜Nakazaki Fumina
photograph by
Getty Images
女子サッカーを"盛り上げる"?
――起業した時、課題を感じていたのはスポーツ選手のキャリア支援事業だった。でも、そこではなく生理用ショーツという商品開発に着手したのはなぜ?
下山田:実は、「OPT」の商品開発と並行して、スポーツ選手のキャリア支援の準備も進めています。でも決して、キャリア支援とFemtech(※)商品の開発は別軸ではないんです。そのふたつは並行していると思っています。
(※Female(女性)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語。女性の健康課題を解決する商品やサービスのこと)
ドイツにいたときはプロ契約をしてサッカーをしていたのに、日本でそう話すと「親のすねかじってんだろ」とか「まだサッカーやってんの」って言われたことがあったんですよ。プロ契約してどれだけ頑張っていても、世間的にはそんな風に見えていることが悲しかった。ドイツ生活中は女子サッカー選手の見え方をどうやったら変えられるんだろうってずっと考えていました。
そもそも、その価値はどうやって上げていくの?
――どうしたら変えられるか、下山田なりの答えは見つけられた?
下山田:日本に帰国してからよく耳にするのは、「女子サッカーを盛り上げよう」とか「女性スポーツ界も頑張ろう」ってフレーズ。自分はその表現が嫌いなんですよ。「盛り上げる」ってどうやって盛り上げるんでしょうか。そもそも、価値がないと盛り上がりません。その価値はどうやって上げていくの? って思うんです。
価値を上げるためには、選手自身が自分のいる競技・スポーツ界と社会とをリンクさせた上で、「社会にこれだけ影響を与えられるんだ」と示さなければいけません。そういうことができる選手が増えないといけない。
かくいう自分自身もまだそういう選手にはなれていないから、まずは行動で示そうと会社を立ち上げたし、女性スポーツ界の"かっこいい姿"を提案していくために「OPT」を開発しました。そうやって行動している自分が、キャリア支援サポート「NEKKYO」というサービスを始めることで、他の選手がキャリアを考える足掛かりにしてもらおうと思っています。