メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
【引退】メジャー63勝・岩隈久志の真骨頂は、自分を客観視して黙々とはい上がる泥臭さだった
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byKYODO
posted2020/11/07 06:00
18年9月、捕手役のイチローにボールを投げる岩隈。マリナーズからはコーチを打診されたが固辞し、19年から日本球界に復帰した
静まり返った本拠地で孤独なリハビリを
その一方で、故障とも闘い続け、17年5月3日を最後に、メジャーのマウンドから遠ざかった。
試合開始数時間前、静まり返った本拠地で孤独なリハビリを続け、開始前には帰宅する日々。マイナーで好投し、復帰秒読みとなっては、何度となく再発を繰り返した。
イチローがマリナーズに復帰し、約1カ月間、選手としてプレーした18年も、一緒のグラウンドに立つ願いは叶わなかった。同年9月26日。退団セレモニーの際、会長付特別補佐となっていたイチロー氏相手に始球式を行ったのが、シアトル最後のマウンドとなった。
「本当にマリナーズでやって良かったと思います」
マリナーズ在籍7年間は、ポストシーズンに縁がないまま終わった。ただ、苦境を知るからこそ、周囲への感謝の思いは忘れない。
岩隈がメジャーに遺したものは、63勝の数字だけではない。