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プロ野球「ドラフト7位」から光った“下克上”選手列伝 打率3割3分の楽天2年目・小郷裕哉はどうなる?
posted2020/11/03 11:02
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
KYODO
ドラフト会議前から「1位指名は確実」といったように世間の注目を集め、鳴り物入りでプロ野球の世界に入る。そんなスター候補であっても、誰もが「プロになったらドラフトの順位なんて関係ない」と口を揃える。
その最もわかりやすい例が、1991年のドラフト4位の選手の活躍だろう。オリックスのイチローを筆頭に、近鉄の中村紀洋、広島の金本知憲、阪神の桧山進次郎の実績が「順位なんて関係ない」を証明している。
今、楽天の「ドラフト7位」が、先人たちに続けとばかりに猛烈なアピールを見せる。
大卒2年目の24歳、小郷裕哉だ。
今季一軍から2度降格。再昇格となった9月30日に2安打、1本塁打と結果を残し、以後スタメンに名を連ねる試合が増えた。53試合の出場で打率は3割3分7厘(11月1日現在)。持ち前の打撃力で存在感を示している。
入団直後、遜りながらも野心をのぞかせていた小郷の姿を思い出す。
「7位という順位なんで、プロ野球選手全員、自分より実力が上だと思っています。だから、プレッシャーとかあまりないというか。『失うものはない』くらいの感じで思い切りプレーして、いい結果を出していけたらいいなって思っています」
実は少なくない「7位」から光った選手
例年のドラフトを見ても、7位まで支配下選手を獲得しない球団がいるように、この順位は「下位」と断定されても仕方がない。
しかし、かつて「ドラフト7位」から一流選手へと成り上がる――そんなロマンを実現させた選手たちもいたのだ。
1968年の阪急・福本豊は通算2543安打に加え、プロ野球歴代1位の1065盗塁の偉業を打ち立てた。1993年指名のロッテ・福浦和也は投手での入団だったが、野手に転向後は2001年に首位打者に輝くなど通算2000安打を達成した。
現役選手に目を移しても、ヤクルトの近藤一樹、ロッテの角中勝也と、主力に上り詰めた選手は決して少なくない。