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ダルビッシュ、前田ら投手は絶好調! 秋山、筒香、「ルーキー打者」不調のワケは“7.23開幕”!?
posted2020/09/06 08:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
KYODO
投高打低。
7月23日に開幕したメジャーリーグの今季は約2カ月で60試合を戦う特殊な短縮シーズンだ。その中で日本人メジャーリーガーの数字は現状では“投高打低”となっている。
開幕から約6週間。先発投手陣は存在感を発揮している。
ダルビッシュ有 7勝1敗、防御率1.44
前田健太 4勝1敗、防御率2.53
田中将大 1勝1敗、防御率3.38
菊池雄星 2勝2敗、防御率5.23
(9月5日時点)
ダルビッシュは8月(7月下旬含む)の月間MVPに輝き、サイヤング賞候補の筆頭にあがるほどの輝きを放っている。
前田も8月18日のブルワーズ戦で8回までノーヒッターの快投を見せ、1イニング当たりに何人の走者を出すかを示すWHIPは0.75でメジャートップ。新天地での活躍は目を見張るものがある。
田中は勝ち星にはなかなか恵まれていないが、安定した投球は例年通り。口うるさいニューヨークのメディアの信頼も揺るぎない。
菊池はここまで成績こそ今ひとつだが、直球は98マイル(約158キロ)、スライダーも95マイル(約153キロ)を計測し、球速アップに成功した。9イニングでの奪三振率は昨季の6.5から9.7にアップし成長の跡を見せている。
軒並み打率1割台の打者陣不調の理由は?
その一方で打者陣は軒並みパッとしない。全員が打率1割台に低迷している。
大谷翔平 108打数20安打、打率.185
秋山翔吾 97打数19安打、打率.196
筒香嘉智 89打数17安打、打率.191
(数字は9月2日終了時点)
打撃陣不調の理由はどこにあるのか。ひとつ考えられるのは開幕が7月23日であったという事実だ。
新型コロナウイルス感染拡大で春キャンプが中断となったのは3月中旬だった。それから7月1日のサマーキャンプ再開まで選手たちは個人練習を強いられてきたが、この期間は打者にとっては気の毒な環境だった。
あくまでも一般論だが、投手は個人練習でも自分のすべきことをしっかりと進めていけば、一歩ずつでも状態を上げていくことは可能だ。無論、打者と対峙することで上げていくボールの精度、見えてくる駆け引き、実戦の感というものはある。それでも自分に厳しくトレーニングを積んでいけば、ロックダウン中でも自身の状態を上げていくことはできた。勤勉な日本人投手だからこそ、今の成績があるのだと感じる。
だが、打者はどうであろうか。ティー打撃や室内打撃しかできない練習環境では限界がある。屋外でフリー打撃が出来たとしても、メジャーリーガーが投げる生きた球を打席内で見ることが出来なかった3カ月半の調整は足踏み状態に等しい。
わかりやすい例を挙げれば、春キャンプで投手と打者が初めて対戦する練習を思い浮かべて欲しい。打者は目慣らしに徹し、打ちに行ってもフルスイングには程遠く当てるだけ。投手先行の状態を誰もが認めるところだ。
投手は春の時点より先へ進み全力投球が可能な状態に対し、打者は春のキャンプイン時とほぼ変わらない状態。これがサマーキャンプ開始時であり、実戦練習は紅白戦に限られ2週間弱しかなかった。開幕時点での立ち位置には例年以上の差があったと感じる。