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DeNAリリーフ陣の“長男“が復活へ。
三上朋也「今季は全力でぶつかる」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/02/02 11:40
2016年に59試合、'17年に61試合、'18年に65試合と登板を重ねたが、昨季は6試合に留まった。
「単純に応援していましたよ」
術後退院した三上は、日中はファーム施設でリハビリを行い、怪我に関する勉強などをすると、夜は家族とゆっくり過ごし、ときには普段であればシーズン中には会えない知人たちと食事をともにした。気の置けない人たちとの触れ合いは、三上を自然とポジティブにし、精神的安定を与えたという。
そしてもちろん自分がいないチームのゲームをテレビで観戦した。春の大連敗を脱出したDeNAは夏にかけ調子を上げながら、首位を追走する大事な試合をつづけていた。三上としては、その場にいることのできない悔しさを感じたことはなかったのだろうか。
「いや、そこは単純に応援していましたよ。チームが勝てば当然うれしいし、若いピッチャーが投げていれば頑張れよって」
実績や年齢を鑑みれば三上はブルペンのリーダー的存在であり、いわば“長男”の役割をこの数年果たしてきた。しかし不在だった昨季、クローザーの山崎康晃は「三上さんがいない分、ブルペン全員でその穴を埋めなければいけない」と、自覚を感じさせる発言をしている。ブルペンは火の車だったが、若い選手たちも加わり、何とか踏ん張った。
腐らずやっていける感覚を得た。
どこか達観した表情で三上は言う。
「例えば、昨季でゴウ(筒香嘉智)がチームから抜けましたけど、それをきっかけに新しいスターは必ず生まれると思うんですよ」
去る者もいれば、新しく台頭する者もいる。そうやって時代は流れ、世代は交代していく。
「けど、僕もまだまだその場で戦っていきたいし、そのために手術をしたわけですからね。ただ、僕も後々は第一線で投げられなくなる日が必ずきます。今回はそのときの予行練習じゃないけど、たとえそうなったとしても腐らずにやっていけるなって感覚を得ることができたんです。だから悪いことばかりじゃなかったし、学んだことを今シーズン、チームに返していかなければならない」